いつ見ても、美しいもの
こんにちは。悠々庵の吉田です。いかがお過ごしでしょうか。今年も残り1か月を切りました。まさに光陰矢の如し、ですね。秋を飛び越えて、もうクリスマスになってしまいます。私としては、ベランダでぼんやり水割りでも飲みながらもうちょっと秋の夜長を楽しみたかったです。 さて、先週末は「床紅葉」で有名な宝徳寺さんへ行ってきました。12月に入ってもまだ紅葉真っ盛り、色鮮やかな紅葉が、磨き上げた漆の床に映っていました。ため息が出るほど美しいとは、このことですね。 お庭は砂を水流に見立て、岩を山に見立てる枯山水。こちらも落ち葉ひとつ見当たらない、手入れの届いた姿。いつ見ても飽きない「永遠の美」がそこにありました。お庭で佇んでいるとき、ふと東京美術俱楽部(骨董品屋さんのトレードショー)での出来事を思い出しました。 骨董のことなど何もわからない私が、現代的で端正な香炉の姿に釘付けになり、足を止めて見入っていると、そこのご主人が話しかけてくれました。「1000年前の作品でも、まるで昨日作ったかのように新鮮に見える、それが骨董の神髄です」 そう、その香炉は北栄(ほくそう)時代、1000年以上前に作られたものだったのです。 香炉の裏には、世界有数のオークションを経ている証が貼付されていました。書物によると、枯山水も飛鳥時代に始まり、平安時代には造園手引書に紹介されていたと記述がありました。 「1400年前の人たちが見た景色と、同じ景色を見ることが出来るんだ」と思うと感慨深いですね。そしてそのお庭は、先の骨董の香炉と同じで「1400年前と同じ様式でも、新鮮に見え」ました。 毎日、素敵なデザインのものが作られ、世界中から情報がたくさん入ってくる時代に生きていますが時空を超えて存在し続ける「もの」「こと」の中に未来のデザインエッセンスがたくさん隠れている、と教えられた気がしました。 今日はいつもよりまじめに書いてしまいました。(笑) なにかと忙しい年末ですが、どうぞ体に気をつけてお過しくださいませ。
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